自閉症児は食物を含む多くの環境因子に対して反応する傾向がある。 調査した自閉症児の間では、
ADD 及びADHDがある場合、アレルギー性食物と問題行動の関連をしめすデーターが詳細に報告された。 また、染料や着色料に対する過敏症も、多動ののある児童の学習障害や成績不良と関係がある。 このような食物アレルギーによる問題行動の悪化や神経障害は自閉症児にもみられる。
食物反応はいくつかのカテゴリーに分類できる。1型食物アレルギーはアレルギー性食物摂取直後ただちにでるので即時型過敏症(過剰反応)という。免疫グロブリンといわれる抗体(免疫細胞)が介在して、これはしばしば遺伝性である。 明確な症状で強い反応を引き起こすため「アナフィラクチックショック」により致命的にもなる場合もある。 1型食物アレルギーは比較的珍しいケースで、食物アレルギー全体の約10%を占める。 最も1型アレルギーと関連のある食物はナッツや貝類。
2型は遅発性過敏症といわれ、アレルギー性食物を摂取後最大48時間後に遅れて反応が現われる。 2型アレルギー反応は症状が現われるのが遅いので診断は非常に難しい。1型より2型の方が軽症であり、遺伝因子によって引起されることも少ない。食物アレリギーの約90%はこのタイプである。
どのような食物に対しても身体はアレルギーを引起す可能性があるが、主なものは以下のとおり。
●小麦
●酪農製品
●卵
●ピーナッツ
●大豆
●とうもろこし
●柑橘類
●チョコレート
●トマト
●砂糖
●イースト
一部の食物反応は真の意味でのアレルギーではなく、食物過敏性とか不耐性といわれている。 それらには食物たんぱく質だけでなく、着色料、香料、化学品、殺虫剤、その他食物中の汚染物質に対する反応もふくまれる。 食物過敏症は診断も困難で症状も軽症から重症と様々なケースがある。 また、測定可能な抗体生成を伴わない場合もあるので過敏性の診断も難しい事もある。 その場合には抗体生成がなくても、脳の中のある種の受容体と結合して神経伝達物質のまね(ミミック)をして、直接神経細胞に害をあたえる。 このような過敏性を引き起こす物質、例えばグルタミン酸ソーダ(MSG)など、は神経系を直接刺激するので、刺激性毒素(Exitotoxins)と言われている。
Dr. RussellBlaylockは著書「Exitotoxins (人を殺す味)」 の中でこれら化学物質が神経系へ損傷をあたえるメカニズムについて説明している。
兆候と症状
食物アレルギーは様々な兆候や症状を伴う。 注意すべき重要な点はアレルギーとなっても必ずしも明らかな蕁麻疹とか胃腸管の問題が現われない場合があるということ。むしろ湿疹、頭痛、行動異常、や免疫異常といった慢性的な状態として現れることが多い。 小児の場合、一般的に次にあげる兆候や症状のうち一つまたは複数が存在する場合が多い。
消化管症状
●慢性的下痢(最も多く見られる食物アレルギー)
●便秘と下痢が交互に続く
●胃痛叉は腹痛
●臭い便
●腹部膨満とガス
●特定の食べ物への切望叉はこだわり
●激しい好き嫌い(しばしば偏食者である)
その他の兆候と症状
●アレルギー性結膜炎
(目の痒みのため擦り、下眼瞼が紫色に浮腫状になる状態 - - -目の下のくま)
●目の下のはれ
●慢性鼻水(後鼻漏)
●頬叉は耳の発赤(皮膚が赤くなること)
●突飛な行動、説明できない興奮状態(有頂天、大笑い、など)
●多動
●むら気または怒りっぽさ
●集中が困難
●睡眠障害、夜尿、歯軋り
●臭い息、臭い汗または臭い足
●湿疹、乾癬または発疹のような炎症性皮膚反応
●頭痛、喘息、アレルギーのような全身性反応
●再発性感染症、特に耳や喉の感染
●異常な体重増
考えられる原因
食物アレルギーや過敏性はある一つの原因だけによって起こる訳ではないようである。次に示す多くの因子が関与している。
1.遺伝的要因はアレルギー発生に重要な役割をしているようだ。研究によると両親がアレルギーである子供がアレルギーとなる確立は67%である。対照的にもし片親だけの場合では33%である。
2.食物アレルギーはしばしば腸管膜の透過性過大(未消化の食物が腸壁を通過する)によって引き起こされ(LGS参照)食物蛋白が血流に入ることにより免疫反応が発生する。 それ故、幼児期或いは胎児期の頃から繰り返し経験してきた食物に対してアレルギー反応を起こすことになる。
3.消化機能の問題も食物アレルギー発症に関係する。特に胃酸や膵(すい臓の)酵素の不足により食物が正しく分解されないときアレルギー反応がおきやすい。1930年代に行われた試験では食物アレルギー治療法として消化酵素補助の良好な影響を示している。これらの試験成績はかなり古いので 時代遅れになった可能性はあるが、多くの医師は食物アレルギーの治療に消化酵素を処方して、良好な結果を得ている。
4.環境化学物質、毒素、アレルゲンなどへさらされることも食物アレルギーや過敏性の原因となる。 また、ワクチン中の水銀や環境中の重金属は消化管膜を傷つけ透過性を高め最終的には食物アレルギーを引き起こすことを多くのデターが示している。ある実験では消化管膜へ水銀を塗布すると、空腸(小腸)の上皮細胞を傷つけ、その結果消化管の上皮細胞組織の透過性を増大することが確認された。
5.消化器官の免疫力低下も食物アレルギーの素地を作る。 消化管壁の粘液細胞によって生成される抗体IgA の分泌量減少が腸管上皮組織の透過性増大を引き起こすことが共通の要因と考えられている。
診断
1.食物アレルギー血液検査
食物アレルギーと過敏性の試験に対しては色々な意見がある。血液検査は遅発型(2型)過敏症によって引起される隠れた食物アレルギーの一部を発見する道具として有用だが、それが正確かどうかは多くの科学者達が疑問をもっている。 一方、自閉症児専門医師はエライザ(ELISA)法を好んで使用している。 血液検査による簡便な試験であり、アレルゲンとなる食物を両親に示すことができるメリットがある。
2.食物アレルギー皮膚試験
数種類の食物アレルギー診断用の皮膚試験がある。スキンプリック試験、スキンスクラッチ試験と皮内試験である。最初の2つの試験より正確なのが皮内試験ではあるがアレルゲンを皮内へ注射をする必要がある。一部のアレルギー専門家によると皮膚テストの方が一般には血液テストより信頼性が高いが、注射をうける子供には嫌な試験であり、嫌がって受け付けない場合には実施不可能となる。
3.アレルゲン排除食餌法
この食餌療法は集中的に行い、アレルギー性と疑われる食物を一定期間完全に排除゙し(排除チャレンジ期)、次に一度排除した食物を再導入して(チャレンジ期)アレルギー反応を評価する。 排除期間は3〜4週間でその後に一つずつアレルギー性と疑われる食べ物を試す。症状を発症するには48時間かかる遅発型過敏反応もあるので一つが終了してから4日間待って次の食物を再導入する。食物アレルギーが有った場合には色々な種類の有害事象が発生するので、両親による自閉症児へのしっかりしたモニターが必要である。アレルギー排除食餌法は非常に正確で従来のアレルギーテストに比べてもコストは低いが、排除した食物のみしか特定できない。強いアレルギー性食物を全て排除したとしても、軽度なアレルゲンでも食べ続ければそれらが有害事象を引起している場合があることに注意する必要がある。 「Tracking Down Hidden Food Allegy: Dr. Willion Crook著」 など多数のアレルギー克服のための食餌療法が出版されている。
4.その他の食物アレルギ検査法
食物アレルギーの原因究明及び治療の為の消化マーカーは多数ある。例えば
●消化管透過性試験:LGSの存在及びその程度を見る
●CDSA (総合的便検査)、OAT(有機酸テスト):消化管透過性亢進に_がる可能
性のある消化管dysbiosisの存在をみる試験。CDSAは消化酵素または胃酸欠乏の可能性を示す。
●分泌IgA試験: IgA イムノグロブリンの欠乏によりある種のアレルギー特性を持つ食物に対する消化管の感受性が高くなっている可能性がある。
治療法
1.食餌療法
a) 既に特定されているアレルゲン(抗原)、及び疑わしいアレルゲンを食事から除去する
b) イースト菌や腸内のう悪玉菌を増殖する砂糖や精製炭水化物を取らない。
c) クリーンな食事を取り、食物繊維を多く摂取し排便を定期的に行い健全な消化管壁を保つ。
d) もし食物アレルギーテストが出来ない場合には前項でふれたアレルギー排除食餌療法を行う。
e) 将来の食物アレルギー予防と摂取している食物アレルゲンによる消化管壁への刺激を減弱にする為にもロテーションダイエットは有用。
2.消化管壁の治癒と修復 (6−3消化管漏出症候群を参照の事)
a) 消化管の細菌バランスの崩れである腸内毒素症(dysbiosis)を薬剤で治療、または医薬品と栄養サプリメントを併用する。
b) 腸内有用菌(プロバイオティックス)サプリメントの補充で善玉細菌を補給する。
c) 炎症を抑えるサプリメントの補給により腸管壁の健全さを復活させる。
3.消化酵素分泌欠損の回復(リプレース)
a) 食物アレルギーの治療に効果のあるとされる消化酵素をサプリメントで補給する。
b) セクレチン(Secretin), ベサネコル(Bethanechol), 及びIVIG などの処方薬は消化酵素サポートに有用である。
c) Betaine HCL(ベタイン HCL)サプリメントの使用は必要な場合のみ適切な医師の監督の元で行なう。
4アレルギー反応の減少
多くのサプリメント、例えばビタミンC, ケルセチン(Quercetin)の様なビオフロボノイド(bioflavonoids)或いはブドウの種抽出物 (Grape Seed Extract)のようなプロアントシアニジン (proanthocyanidins)はヒスタミン反応を引起すマスト細胞(肥満細胞)を安定化させることでアレルギー反応を減少させる。 MSM もアレルギー症状を引起す主たる原因のヒスタミンの放出を抑えるのでこれも有用である。
5.補完的アレルギー排除治療を考慮する
一部の医師は一般的に受け入れられてない技法を使う場合がある。これらの治療法はあくまでも‘補完的’ではあるが、多くのアスペルガー症候群の児童の親達が食物アレルギーの顕著な改善を報告している。 また、食物に対する有害な反応が完全に消失した例もある。 最もよく使用されているアレルギー排除治療は以下の通り:
a) 酵素による過敏性抑制(EPD)
一部の患者にとってはこの治療法は有望な食物アレルギー克服の方法かもしれない。 但し、この治療法では抗原(アレルゲン)となる食物をとらないよう厳しく食事を管理しながら、疑わしい抗原を中和させる為の一連の注射が必要なため、小さい児童にとっては困難な治療法ともいえる。 詳しくはニューメキシコにあるアメリカEDP 学会、電話は(505)983-8890, 叉はウェブサイトwww.food-allergy org/epd へ問い合わせる事。
b) Nambudripad のアレルギー解消法(NAET)
EPOと同様にこれもまた有用なアレルギー排除方法となる可能性がある。 一般的には医学界で受け容れられていないが、一部の親たちから食物アレルギーを解消するために有効な方法と報告されている。一般的にNAETは体へのストレスが少なくい応用運動療法と、身体の指圧点(プレシャーポイント)を活用する。 この方法に関する情報はwww.naet.comを参照のこと。 .
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